コロナ禍でのニューヨークのロックダウン。この特殊な環境下で私に出来たことは、引きこもって、消毒して、制作する、ということでした。今回の個展「Must Have Items」は、この特殊な時期に何を思ったのか、ということを時代が変わっても伝えていきたいと考えて描きました。
スーパーマーケットに並んでいた漂白剤
ここで紹介する作品は、コロナ禍でよく買ったものと、ロックダウン中にスーパーマーケットに並んだ漂白剤、観葉植物屋さんで売られていた植物、そして医療従事者をユニコーンに例えて描いたものです。
コロナ禍で痛感したのは、アーティストは直接的には何も出来ないということでした。出来ないなら、応援しよう。そうした想いから生まれたのがこのユニコーンです。ユニコーンは伝説上の生き物ですが、そのツノには水をきれいにする力があると言われています。友人の深澤優子さんにイメージを伝えて作曲していただいた音楽と共に、医療従事者に例えたユニコーンが水をきれいにしていくというアニメーションを制作しました。
また個展では、この状況下で送る日々の空気感をインスタグラムで発信していた「NYひきこもり日記」を、一冊にまとめた本も展示しています。
実際にはデモがあったり、犯罪が多発したりしていましたが、友人に向けた絵日記だったので、とにかく元気で生きていることを伝えたいと思い、かなり柔らかな雰囲気で描いています。ニューヨーク州だけでも数万の感染者数と死者数があり、不安はついて回っていましたが、ニューヨーカーの明るさと逞しさに励まされていた気がしています。
ものづくりをする人に必要なのは、地域の方達の応援と興味だと思っています。しかしながら、美術は作る人も見る人も学びが必要な分野です。
観葉植物屋さんの植物たち
ニューヨークは、美術館が学校のようでした。作家の経歴やどんな人たちとスタジオシェアをしていたかなど、キャプションを読んでいるだけで自然と学んでいけるように作られています。無料や寄付で入れる時間帯もあり、学生や仕事帰りの人で美術館はとても賑わっています。何度行っても新しい発見があり、コロナ前は好みの展示室に何度も足を運びました。大学も一般に開かれていて、刺激的で楽しい環境でした。
札幌は雪、海、山があり、新鮮な切り口が沢山ある魅力的な街です。移動が難しい時代となり、私自身、今後どういう形で札幌で制作するかを模索する段階に入ってきたように思います。
初の短編アニメーション
札幌とニューヨークを拠点にしたビジュアルアーティスト・イラストレーター。日本のポップカルチャーと西洋の抽象画の技法をミックスさせている。動物、風景を描いたちょっと不思議な作品達は、アメリカ、日本で展示されている。
VR展示公開中!
VRで離れた場所からでも会場や展示作品をご覧いただけます。
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