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グラフィックデザイナー・イラストレーター/小林龍一

動物や仏像から得る「感覚」を動物のモチーフで表現

2022.03.30 UPDATE

 子供時代のお気に入りは動物図鑑や動物のフィギュア。大きかったり、小さかったり、さまざまな模様があったり。動物たちの個性豊かなビジュアルやキャラクター性に、強く魅かれていました。生まれ育った南区は、札幌の中でも比較的自然が豊かな場所。近くの山を訪れては、植物と触れ合いながらのびのびと遊んでいました。
 動植物をモチーフにした作品が多いのも、こうした子供時代の経験が影響しているのだと思います。
 動物を観察している時に不思議と穏やかな気持ちになる「感覚」と、お寺で仏像を見ている時に感じる神秘的で静寂に包まれる「感覚」。語りかけてくるわけではないけれど、動物や仏像から何か不思議なものを感じ取ることができるという点で、この両者から得る「感覚」はとても良く似ています。

 今回の個展「穏やかな静寂」では、私のこうした「感覚」を、好きな動物をモチーフに表現しています。
 ここに掲載の作品から、仏像を見ている時に感じた不思議な感覚の表現(下)、どこからきてどこへ向かうのかというメッセージを込めた反転とループ(上部バナー)、同じ形のものが整然と並ぶことの面白さの中に潜む不気味さ(上)など、可愛らしさだけではない、それぞれの意味深なメッセージを感じてもらえると嬉しいです。
 私はアーティストとして個人での作品づくりをする一方で、グラフィックデザイナーとしてクライアントのいる仕事をしています。

 個人での作品づくりは、自分でテーマを考えて自由に表現できる楽しさがあり、クライアントワークはお客様のイメージを引き出しながら、一緒に物を作り上げていく楽しさがあります。スポーツで例えるならば、個人の仕事はマラソンや短距離走で、クライアントワークはサッカーやバスケなどのチームスポーツに近い感覚です。両者とも何かを表現した先には第三者がいて、私はその人たちに感動を与えたい、楽しんでもらいたい、という思いを大切にしながら日々活動しています。
 日々の暮らしは、自分自身を形成する大切な基盤。都市があり、美しい自然があり、新鮮な食材で美味しいご飯が食べられる札幌は暮らし心地の良い街です。自身の毎日を豊かにしてくれるこの街は、アート活動をする上でもとても良い環境だと感じています。

Profile
 

小林 龍一

1988年生まれ、札幌市在住。デザイン制作会社数社を経て、フリーランスのグラフィックデザイナー、イラストレーターとして活動。アートワークとして年に数回グループ展や個展を開催。イラストを「紙」と「布」のアイテムに落とし込んだデザイン雑貨「こばや紙」も好評。
●公式WEBサイト
http://ryuichi-kobayashi.com
●こばや紙
https://ryuichi-kobayashi.shop

【入場無料】

北海道文化財団アートスペース企画展 vol.49
小林龍一個展「穏やかな静寂」

2022.3.7~6.30 9:00~17:00 ※土日祝休館 ※都合により臨時休館する場合があります。
場所/札幌市中央区大通西5丁目11 大五ビルヂング 3F 問い合わせ/011-272-0501

VR展示公開中!
VRで離れた場所からでも会場や展示作品をご覧いただけます。
https://my.matterport.com/show/?m=8agRY9djpf5

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