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おおば比呂司

北海道が生んだ偉大な漫画家の、謎に満ちた絵本作品パネル展

2022.08.26 UPDATE

 内気でおとなしい性格だったものの、オリジナル漫画を描きクラスの人気を集めるなど、ずば抜けた絵の才能を発揮していたおおば比呂司。戦後、北海道新聞社図案課(現デザイン課)に入社し、カット絵や挿絵描きに明け暮れていました。

 忙しい日々の中、漫画家としても活動を始め、1951(昭和26)年と1956(昭和31)年には登竜門である二科展漫画部に入選。1958(昭和33)年に北海道新聞社を退職してフリーに転身し、一念発起して上京。当時の漫画ブームも重なり、やなせたかしや手塚治虫、石ノ森章太郎、藤子不二雄など、名だたる漫画家たちと並び、瞬く間に時代の寵児となりました。
 現在開催中の『原作絵本パネル展「セクッペと下駄」』は、おおば比呂司生誕100年祭展の一環で、未発表絵本「セクッペと下駄」の原画をパネルで紹介しています。

 「セクッペ」とはアイヌ語で“ぽっちゃりとしたかわいい男の子”の意味で、本作はアイヌ民族のちいさな男の子が珍騒動を巻き起こす物語。威厳あるアイヌ長老やお供のかわいいウサギ、北海道らしい大地に湧き出る温泉、野山を駆け回りくるくると表情を変えるセクッペの様子など、おおば比呂司が感情を込めて描いた様子が目に浮かぶような作品です。
 しかしながらこの絵本、いつ描かれたのか、どうやってセクッペが誕生したのかなど、詳細はわかっていません。長男の大場伸之さんは作風から北海道新聞社時代と予想しているものの、当時のエピソードは謎に包まれたまま。

 この未発表作品は、アイヌ協会ほか多くの学識者の協力のもと、文字の誤りや補足、時代考証などを行い、没後30年にあたる2018年に出版されました。
 イキイキと躍動するセクッペが繰り広げる物語を、この原画パネル展を通して体感してください。

Profile
 

おおば比呂司(1921-1988)

札幌市出身。「広報ほっかいどう」表紙絵や北海道新聞の挿絵など、その温かくほのぼのとしたユニークな画風で長年多くのファンに愛された。札幌市資料館内に開設された「おおば比呂司記念室」には、平成7年の開設以降、100万人を超える市民・観光客が訪れている。
●公式WEBサイト
http://www.oba-hiroshi.com

【入場無料】

おおば比呂司生誕100年記念
原作絵本パネル展『セクッペと下駄』

2022.8.1~9.22 9:00~17:00 ※最終日は15:00終了 ※土日祝休館 ※都合により臨時休館する場合があります。
場所/北海道文化財団アートスペース(札幌市中央区大通西5丁目11 大五ビル 3F)
問い合わせ/011-272-0501

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