生まれ育った北海道の自然豊かな風景や雪景色を眺めていると、言葉では表現できないような気持ちになる時があります。私はそうした言葉にならない気持ちを風景に重ねて描いています。
日本画は私にとって、自分の心情を表すためにもっとも適したツール。大学時代に日本画研究室で学んで以来、作品を通して人とつながれることが嬉しく、生涯に渡り絵を描いていこうと決めました。
今回の個展「夜のおわりに」では、冬の景色、移り変わる時間の夜の風景、明けていく風景を中心とした作品を展示しています。会期中は、冬から春に移行する季節で、夜明け前と似ていることや、世の中や個人レベルで起こる様々な出来事が「静かに夜が明けて光が差していくように」という想いを込めて、このタイトルを付けました。
Lightintheforest1
Lightintheforest2
Lightintheforest1とLightintheforest2は、夜の森で赤い花を持った人物が小さな灯りを目指して歩いている連作になります。具体的な物語はなく、思い浮かんだ場面を絵にするため、後から過去の作品の場面とつながることがあります。この作品もそうした流れの一つです。
アケノヨル
この作品は「アケノヨル」と題した絵で、冬に家の近くで鳥が木々にとまっている姿を見た時に、絵にしたいと思い生まれました。
他にも今回の個展では、生まれ育った北海道の冬の暗闇と寒さは、場所と時間は違っても、どこかでつながっているという記憶と心象を重ねた6枚の連作や、雪の降る風景の臨場感を描きたくて、初めて使う画材で実験した作品など、季節や時の移り変わりを感じる作品も多数展示しています。暗い時から明るい時へ。ぜひ、会場でその空気を感じてください。
つづいていく風景-遠くをみる
つづいていく風景-月がしずむ
つづいていく風景-光をてらす
つづいていく風景-線をひく
つづいていく風景-灯りをともす
つづいていく風景-夜にやどる
場所と時間は違っても、どこかでつながっている風景を描いた6枚の連作。生まれ育った北海道の冬の暗闇と寒さは自分とつながっています。その冬景色に記憶と心象を重ねています。
夜のおわりに
夜明けに染まる青が好きです。夜と朝の中間にあるなんとも言えない空気感を目指して描きました。
アオノトキ
タイトルをカタカナにする事で意味よりも音の響きを大事にしたくて付けました。真夜中の深い青の中、全てが眠っているような時をイメージして描いています。
アケノアサ
富良野で見た葡萄畑を元に描いています。冬のおわり頃で支柱だけが整然と並んでいる風景に惹かれました。
snow flower
この作品では雪の降る風景の臨場感を描きたくて、初めて使う画材で実験をしています。
持ち主のいないソリに花のような雪が降り積もるという寂しさと温かさの間のような風景です。
Profile
紅露はるか
札幌市在住の日本画家。北海道教育大学札幌校日本画研究室卒業。日常、生活する中で出会った景色と季節によって表情を変える自然にインスピレーションを受け、その時々の自分の心情を共鳴させて作品を制作。
●公式WEBサイト
https://koroharuka.com/
【入場無料】
北海道文化財団アートスペース企画展 vol.51
紅露はるか展「夜のおわりに」
2023.2.13~4.27 9:00~17:00 ※土日祝休館 ※都合により臨時休館する場合があります。
場所/札幌市中央区大通西5丁目11大五ビル3F
問い合わせ/011-272-0501
VR展示公開中!
VRで離れた場所からでも会場や展示作品をご覧いただけます。
https://my.matterport.com/show/?m=iz8ZZ7VTYuT