町の面積の約9割を森林が占めるという下川町。その中の小さな集落「一の橋地区」で、家具作家の河野文孝さんは、かつて診療所だった平屋の建物に工房を構えています。
河野さんは埼玉県出身。一度は東京で営業職に就きましたが「ものづくりがしたい」という思いが募り、家具職人を目指して北海道にやってきました。東川町や剣淵町の会社や工房で腕を磨き、2013年に「森のキツネ」を設立。2016年に下川町へと移り住みました。
診療所だったという青い屋根の平屋。外観は当時の面影をほぼそのまま残している
下川産広葉樹の活用に力を注ぐこの町は、伐採から製材、乾燥を町内で一貫してできるのが特徴。「自分が暮らす町の木でものづくりがしたいと考えていた僕にとって、下川町は理想の土地でした」と移住の動機を話します。
「北海道に来てからスノーボード、カヌー、スノートレッキング、バードウォッチングとかなり趣味が増えて、気づけばそのまま北海道に腰を据えてしまいました(笑)」と河野さん
元診療所だった空き家を見つけたのは2年前のこと。「廃棄物として捨てられる家具を見るたびに、何かできることはないか」と考えていた河野さんは、診療所という響きにヒントを得て、長く使い込んだ家具の修理・リメイクをする「家具乃診療所」の開設を決めました。
「目の前にあるバス停の名前が診療所前のままだったので、それも活かしたくて」と話す河野さん。自身でリノベーションを行い、森のキツネshop、家具制作の工房としてオープンし、家具乃診療所サービスも受け入れています。
工房の様子。搬入搬出がしやすいように大きな出入り口を設けるなど、リノベーションは現在も進行中
「修理を依頼される方は、家具を購入された当時のことや、思い出話を聞かせてくれます。家具は暮らしの一部ですから、思い出や直して使いたいという気持ちは大切にしたいですよね」と河野さん。修理箇所を記入した「家具のカルテ」も作成し、お客さまに渡します。
工房に併設する森のキツネshop
また、この診療所がかつて町のコミュニティだったという話を聞き、北海道和種馬「どさんこ」とのふれあいなどが楽しめるイベント「ハナカフェ」も企画。「今後もこの場所、環境を活かして、面白いことを計画していきたいですね」
1977年、埼玉県生まれ。「森のキツネ」の屋号で活躍する家具作家。
森のキツネshop及び家具乃診療所(下川町一の橋240)は毎週日曜・月曜10:00~15:00
商品は森のキツネon-line shopでも販売中。詳しくは下記WEBサイトにて
森のキツネWEBサイト
https://localwoodfurniture.com/