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特集

新進気鋭の作家が率いる劇団た組
初の北海道公演

interview 加藤拓也

2022.08.26 UPDATE

演劇から映像まで幅広いフィールドで活躍し多方面で注目を集める演出家・劇作家の加藤拓也。劇団た組の新作「ドードーが落下する」は自身初となる全国ツアーであり、北海道初公演です。躍進を続ける若き才能のこれまでの歩み、そして北海道初公演への思いとは。本格的な稽古を控える最中、お話を伺いました。


 

演劇は観客の脳と俳優で物語を組み立てていくもの

 
―高校在学中に構成作家としてのキャリアをスタートさせていますが、きっかけは何だったのでしょう。

 文章を書くことを面白がっていたので、ブログを書いていました。ブログに「日常の事ではなく本当っぽい嘘」を読んだ人が嘘だとわかるけど書くようになり、やがてそれが何かを書くという行動に繋がったように思います。正直な所強い体験は無いのでぬるりとしています。

ー映像演出と演劇について学ぶため18歳でイタリアに渡ったとのことですが、イタリアで得た忘れがたい体験などはありますか。

 ヘリコプターの助手席に空撮の練習として乗せてもらいました。僕がカメラを持ってです。ドアを全部外してシートベルト一本で乗った事は、当時のぼんやりした記憶の中でも割と覚えている事です。ヘリコプターの運転手が酒を飲んでいたのでふらふらした飛行でした。今だと絶対に乗らないですね。

 

「ぽに」(2021) 撮影:東 花行
 

ー20歳で帰国後に「劇団た組」を立ち上げるなど、映像だけではなく、演劇を表現の一つとして選ばれています。

 演劇には映像作品と違った許可があります。観客の脳と俳優で物語を組み立てていくという作業です。表現手段には演劇であるべき理由が必要だと思いますが、物語には演劇であるべき理由は必要ないと思っています。つまり、物語自身は場所を選んだりしません。僕らが勝手に物語をフォーマットして媒体を選んでいるので、表現手段には理由が存在します。

 

「ドードーが落下する」を書いていて、青春の感覚が蘇りました

 

―原作ものをはじめ、多くのオリジナル作品も手がけていらっしゃいます。作品を生む原動力となっているものは何でしょう。

 作品によって様々です。一貫しているものは無いかもしれませんが、楽しめるかどうかは優先したいと考えています。

 



写真は恋人との関係性をたゆたう女性の所在なさを描いた「ぽに」(2021年た組)。松本穂香、藤原季節、平原テツ、津村知与支、豊田エリー、金子岳憲、秋元龍太朗、安川まりが出演した。 撮影:東 花行
 

―6月に公開した映画「わたし達はおとな」も含め、藤原季節さんとのタッグが非常に多い印象です。改めて、藤原季節さんという役者の魅力や、共に作品をつくることで得られるものなどを教えてください。

 「一緒にやってると楽しい」というのが一番魅力かもしれません。一緒にやる理由なのかわかりませんが、今でも関係しているのは随分昔に知り合って、それから互いに変化をし合って見てきたということはとても大きいです。

―最新作「ドードーが落下する」の稽古を控えた今、どのような作品になりそうでしょうか?

 僕にとって、ここ最近の数作品はどれもとても大事な作品になりました。新しい手触りみたいなものがそれぞれ、次々とやってきて、それはこれも同じです。書いていて青春の感覚が蘇りました。稽古がとても楽しみです。

 

ツアーが終わった時に自分が何を思っているのか楽しみです

 
ー劇団た組は北海道初上陸となります。藤原季節さんの故郷でもありますが、北海道には、演劇シーンも含めどのような印象を持たれていますか?

 北海道に行く事自体、実はほぼ初めてに近いです。十年以上前に一度行った時は網走で、ほとんど雪の記憶しかなく、あとは回転寿司のお寿司がめちゃめちゃ美味しかったことくらいしか覚えていないです。演劇シーンは北海道で観劇をした事が無いのでわかりませんが、戯曲賞など積極的に取り組んでいるイメージがあります。もっと交流ができればいいなと個人的に思います。劇団として北海道だけではなく、ツアー自体が初めての事なので、劇場を変えて上演していくこともどうなるのか、終わった時に自分が何を思っているのか、今の自分が街にどんな印象を持つのか、藤原季節が案内するよと言っていたのでそれも含めて楽しみです。


加藤拓也
(かとう たくや)

1993年生まれ。大阪府出身。脚本家、演出家、映画監督。17歳の時からラジオ、テレビ番組の構成作家を始める。18歳の時にイタリアへ渡り、映像演出を学ぶ。帰国後、ホームレスを経て9人シェアハウスの1畳半の部屋に入居、ルームメイトの影響で演劇を始める。「劇団た組」を主宰、全作品の脚本・演出を担当。「友達」(2021年シス・カンパニー)、「たむらさん」(2020年シス・カンパニー)、「MISHIMA2020『真夏の死』」(2020年梅田芸術劇場)、「もはやしずか」(2022年アミューズ)など外部プロデュース作品の脚本・演出でも注目される。映像脚本では2022年NHK『きれいのくに』で第10回市川森一脚本賞を受賞。2019年日本テレビ『俺のスカート、どこ行った?』(脚本)など。近作に舞台「ザ・ウェルキン」(2022年7月〜8月シス・カンパニー)、映画「わたし達はおとな」(2022年6月公開)。フォスター所属。

「ドードーが落下する」

[作・演出]加藤拓也
[出  演]藤原季節、平原テツ、秋元龍太朗 他
2022年10月22日(土)18:00開演、23日(日)14:00開演
クリエイティブスタジオ
札幌市中央区北1条西1丁目 札幌市民交流プラザ3階

全席指定・税込
前売券 一般/3,500円 U-25/2,000円
当日券 一般/4,000円 U-25/2,500円
※U-25券は要証明書
 
(ストーリー)
イベント制作会社に勤める信也(藤原季節)と芸人の庄田(秋元龍太朗)は芸人仲間である夏目(平原テツ)からの電話に胸騒ぎを覚える。三年前、夏目は信也や友人達に飛び降りると電話をかけ、その後に失踪していた。しかしその二年後、再び信也に夏目から連絡がある。夏目は「とある事情」が原因で警察病院に入院していたそうで、その「とある事情」を説明する。それから信也達と夏目は再び集まるようになったものの、その「とある事情」は夏目と友人達の関係を変えてしまっていた。信也達と夏目との三年間を巡る青春失踪劇。

●公演に関するお問合せ
公益財団法人北海道文化財団 TEL:011-272-0501(土日祝除く9:00〜17:30)
http://haf.jp/event_takumi-dodo.html
主催:公益財団法人北海道文化財団
札幌文化芸術劇場hitaru(札幌市芸術文化財団)
企画・制作:合同会社わをん企画
後援:北海道 
制作協力:ダブルス
協力:有限会社quinada、tatt Inc.、ラボチ

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