日本最大の淡水魚と言われる「イトウ」。北海道や東北の一部の河川に生息していましたが、現在は環境省のレッドリストに指定されており、絶滅のリスクが高い「幻の魚」と呼ばれています。
幌加内町の朱鞠内湖は、イトウが生息することで知られる人造湖。道立自然公園に指定されており、周辺一帯は自然保護上の厳しい規制を受けています。
朱鞠内湖淡水漁業協同組合では、乱獲を防ぐためにキャッチアンドリリースなどの様々な遊漁規則を定めています。また、イトウの遡上を助けるための魚道作りや、産卵できる環境を整えるなど、保護活動にも力を注いでいます。
メスの「イトコ」ちゃんを巡る争奪戦を描いた「競争」。繁殖期をコミカルに描いている
こうした保護活動とイトウの周知のために作られたのが「イトウ手ぬぐい」です。
デザインを担当したのは、約20年前に道外から幌加内町へと移住し、現在は「ホロッカ9」として活躍するデザイナー。道内でも有数の豪雪地帯、幌加内町でのリアルな日常であるホワイトアウトをテーマにしたTシャツなど、移住者ならではの視点でユニークなグッズを制作。町内の印刷物なども数多く手掛けています。
見事カップルが成立した様子を表現した「成就」。笹藪から羨ましそうに眺めるクマがキュート
イトウの繁殖期は春。オスの体は頭から後ろが真っ赤に染まる「婚姻色」になります。手ぬぐいはこの「イトウの繁殖」がテーマで、デザインはメスの「イトコ」ちゃんを目当てに複数のオスたちが競い合う様子を描いた「競争」、無事カップルとなって産卵に向かう二匹のイトウと、その様子を羨ましそうに眺めているクマを描いた「成就」の2種類。実際の婚姻色に近づけようとこだわったピンクに近い鮮やかな赤と青の2色が目を惹きます。可愛らしくて親しみやすいイラストと、クスリと笑えるストーリー設定も大好評。収益の一部は保護活動に充てられています。
イトウ保護シリーズのデザインを活かして、ホロッカ9が独自にTシャツやトートバッグなども制作。遊び心と愛情が込められた楽しいデザインでイトウを支え続けています。
「ホロッカ9」ではイトウ保護シリーズの他にも、幌加内町をイメージした様々なアイテムを販売中