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ジモトデザイン

ReTAKO/苫前町

苫前町の豊かな海が育んだ ミズダコ加工品「ReTAKO」

2022.08.23 UPDATE

 海産物の商品パッケージといえば、機能性重視。冷凍冷蔵に対応できる真空パックに、波、魚、船のモチーフ、フォントは筆文字……といったデザインが目立ちます。苫前町で沿岸漁業を行う「inaka BLUE」が手がけた「ReTAKO(リタコ)」のパッケージは、それらとはまさに対極。シンプルで爽やかなデザインが印象的です。
 「ReTAKO」は、「inaka BLUE」の代表であり、苫前町の漁師でもある小笠原宏一さんが、漁業が抱える課題解決のために推進しているプロジェクト名であり、ミズダコ加工品のブランド名。2022年初夏に、ブランドの商品化と販売を目指していた小笠原さん。「パッケージはこの新しい取り組みを象徴するような未来的で親しみのあるデザインにしたい」と考えていた時に、経済産業省・北海道経済産業局が主催する北海道の事業者から商品を、そして全国からパッケージデザインを募集し商品化に繋げる取り組み「パッケージデザインコンテスト北海道2021」のことを知ります。この取り組みにエントリーしたところ、熱意が伝わり見事採択。多くの応募の中から、「パーツのひとつ一つに、「ReTAKO」にとって重要なものが象徴的に捉えられている」として採用されたのがこのデザインでした。

タコ漁や販売にとどまらず、資源管理や収入の維持など「持続可能な漁業」を目指して、行動を起こす小笠原さん

 ジャケットは吸盤をモチーフにした2色の円が連なり、海洋生態系と漁業のバランスを表現。箱を並べれば円弧は無限に繋がる仕様は、「豊かな海を未来につなぐ」という小笠原さんの理念にもマッチしています。また、箱のインナーには「ReTAKO」のコンセプトと豊かな苫前の海が。箱を開けてから取り出すまでのプロセスを通して、「ReTAKO」の取り組みや生産者の想いを伝える役割も担っています。
 2022年3月、同コンテストでこのパッケージはグランプリを獲得。商品も試作を重ね、「ゆでダコ」と聞いて想像するそれとは一線を画す食感と味わいを実現させ、同年7月に遂に「ReTAKO」を商品化。ECサイトも立ち上げて、贈答品としても人気を集めています。

箱の中にはメッセージと、商品のルーツでもある苫前の海の写真を印刷した敷紙を使用

 「苫前の海の恵みとそのおいしさの再発見、それらを取り巻く資源の現状や海の環境を知るきっかけになれば」と小笠原さん。同じ志を持ち、持続可能な漁業に取り組む漁業者と共に、新たな商品の開発にも前向きです。
 今後もかっこいい漁業、やさしい漁業の象徴となるようなデザインで、「ReTAKO」を苫前から全国へ。挑戦は続きます。

DATA

inakaBLUE
苫前町字苫前124-5 TEL 090-9513-8775
https://inakablue.jp/

オンラインショップ
https://inakablue-web.shop
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