苫小牧市内を車で走っていると、国道36号線沿いに見えてくる「王子サーモン」の文字と、シャケのイラスト。青と赤の組み合わせが鮮やかなこのサインは、王子サーモン苫小牧・北海道工場の壁面に掲げられているものです。
王子サーモン苫小牧・北海道工場の外観
1961(昭和36)年。当時の王子製紙の副社長が出張先のイギリスで食べたスモークサーモンに感動。帰国後、試行錯誤の末にその味を再現し、誕生したのが「王子サーモン」です。創業は1967(昭和42)年で、現在の場所に工場が建てられたのは、1972(昭和47)年のこと。以来約半世紀に渡り、サインと共に苫小牧市内のお馴染みの風景の一つとして愛され続けています。
同社の記録を遡ってみたところ、工場壁面のサインに使われているこのフォントとイラストの組み合わせは、主に商品パッケージなどに使用されるロゴとして創業時から使われていたもの。創業者や当時の社員たちのサーモンにかける期待や希望がこのロゴに託されていたはずです。
工場壁面のロゴとは別に、「王子サーモン株式会社」として会社名に使用するロゴも別に存在していた。2015年のリニューアル前までは商品パッケージと、会社名で使い分けをしていたが、現在は統一している
2015(平成27)年、王子サーモンは「若い世代に訴求できるブランド」を目指し、銀座店をリニューアルオープン。その際に、これまでのロゴやパッケージの見直しも行われることになりました。
ブランディング強化の一環で、ロゴを一新する案も出ましたが、「創業時から共に歩んできたロゴ」として社員の愛着や思い入れが強く、従来のデザインを生かすことに。現在使われているロゴは、創業時から使っていたロゴの文字間や体裁などを整えたもので、懐かしくも新しく、会社が歩んできた歴史と、新しい世代にも受け入れられる洗練さが同居しているかのようです。
文字間を調整し、丸みを加えるなど体裁を整えてリニューアルしたロゴ。従来のロゴを踏襲しながらも、洗練されたものに
人気のスモークサーモンも、新しいパッケージデザインに
王子サーモンのロゴと合わせた通称「王子フォント」を使用したパッケージデザイン
商品のパッケージやオフィシャルサイトなど、新しいロゴへの差し替えが進んでいますが、実は北海道工場のサインは、昔のまま。創業当時からのロゴを見ることができる唯一のスポットとなっています。
リニューアルしたショッパーは、図鑑のような鮭の絵が特徴的
銀座店は建築家・前田圭介氏の設計によるもの