北のとびら on WEB

つくる人

村本 剛 / 岩内町
村本テント4代目店主

2025.03.24 UPDATE
作る人

 
 岩内町のギンザ通り商店街の一角に店舗兼工房を構える「村本テント」。丈夫で機能的な帆布バッグは、幅広い世代に愛されています。
 創業は1911(明治44)年。開拓時代を支えた馬具店として産声を上げ、運搬の主役が馬から車へと移り変わると、馬具屋で培った縫製技術を活かしてトラックや船のシートを手がける「テント屋」に業態を転換しました。

昔ながらの日本家屋の趣を残す村本テントの外観

2代目が考案した山菜リュックは、改良を重ねながら現在も根強い人気を誇っています

 「バッグづくりを始めたのは2代目の私の祖父です。農業や漁業、建設車輌に卸していたシートやカバーの受注は冬が閑散期。通年で出来る仕事はないかと模索した末に生まれたのが、現在もお店の定番として並ぶテント生地で作った山菜リュックです。耐久性と収納力が評判で、近隣の営林署にも納めていたそうです」と話すのは、村本テント4代目、村本剛さん。
 剛さんの父であり3代目の憲次さんが帆布でバッグをつくり始め、オーダーメイドも受注するようになり、その知名度を上げていきました。

店内に並ぶ帆布バッグ。店頭での購入もできるが、ほとんどの人はオーダーメイドで注文するそう。ニセコに滞在中の外国人観光客からの注文もあるそうで、「オーダーメイドでご注文いただき、翌年のニセコ滞在時にお受け取りにいらっしゃいます」と剛さん

 「父は私に店を継がせようとは考えていなかったし、私自身も意識したことはなかったんです」と振り返る剛さんは、札幌の電気工事関連の会社に就職し、営業職として10年間働いていました。転機が訪れたのは、帰省中に商店街で開かれた「手作り市」を手伝ったこと。「前職は工場で作られた製品の販売でしたが、自分の手で作った製品を、自ら自信と責任を持って売る、という魅力に気づいてしまったんです」。

帆布バッグの原点「重成バッグ」。岩内出身の高校教師・重成先生から憲次さんがオーダーを受けて誕生しました。時代に合わせて改良を重ねながら、現在も人気商品の一つとして店内に並びます

「お母さんたちの声を取り入れた」というマザーズバッグは、岩内町の出生祝品として贈呈されています

 家業を継ぐために剛さんが岩内町に戻ったのは16年前。ミシンの扱いも初めてでしたが、シートやカバーの修理を通して技術を身につけていきました。帰郷から2年目に憲次さんは他界。ともに仕事をしたのは、ほんの1年弱でした。
 「シートや帆布バッグは、ほとんどがフルオーダー。お客さまの要望に応えながら、技術を磨いていきました」と話します。
 現在、製作は母親と剛さんの2人体制。「母曰く、父よりも私の方が手先が器用だそうです(笑)。バッグは身につけるものですから、縫製の美しさには徹底的にこだわっています」と胸を張ります。

店舗に隣接する工房。剛さんは母親と2人でミシンに向かいます

岩内町外にポップアップストアなどは設けておらず、その理由を「村本テントが岩内町を訪れるきっかけになってくれたら」と剛さんは話します。店を訪れた客にはおすすめの観光スポットや食事処なども教えてくれるなど、岩内町の観光ガイド的な役割も果たしています。取材チームもこの日、剛さんおすすめの喫茶店に足を運びました

 本業のシートやカバーは耐久性がある反面、一度納めると次の受注まで時間が開きます。テント屋も年々その数が減っていますが、「町の産業を支えてくれる業者さんのためにも、テント屋は続けていかなければなりません。バッグづくりは本業を維持するための手段でもあるんです」と語る剛さん。暮らしと産業に寄り添いながら、今日もミシンに向かいます。

Profile
 

村本 剛(むらもと・ごう)

岩内町生まれ。札幌でのサラリーマン生活を経て、2009年に岩内町に戻り、家業を継ぐ。

●村本テント
岩内町万代13-1
営業時間/8:30~19:00(日曜・祝日9:00~16:00)、
水曜定休(4月~10月は不定休)
https://www.muramoto-tent.com/

あわせて読みたい
トップページ
北のとびら on WEB
COPYRIGHT 2021.HOKKAIDO ARTIST FOUNDATION., ALL RIGHTS RESERVED.