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北の住まい設計社 家具デザイナー
城浦光希 Shiroura Kouki

人づくり一本木基金奨学生レポート

2022.08.26 UPDATE

 東川町の廃校になった小学校に工房を構え、道産無垢材を使った職人の手仕事が生きる家具づくりや家づくりを行なっている「北の住まい設計社」。「自然と共に生きること、暮らすこと」を大切にしたものづくりの姿勢や暮らしの提案で、道内外に多くのファンを抱えています。
 そんな「北の住まい設計社」で働く城浦光希さんは入社5年目の家具デザイナー。3年目にして同社の組立家具シリーズ「LIM(リム)」のデザインを手掛けるなど、目覚ましい活躍を続ける城浦さんですが、彼の学生時代を支えたのが「人づくり一本木基金」の奨学生援助事業でした。

ショールームの一角にある「LIM」シリーズ。小さな梱包で送り届けることができる組み立て家具は、輸送時の消費エネルギーを抑え、地球環境への配慮につながる。「お客様自らが組み立てを行うので、構造自体もこれまでと異なる視点で考えました。手軽に組み立てることができる機能性と、従来の家具同様に無垢材と職人の手仕事が生きる美しい意匠性。LIMはこの二つを兼ね備えた新しい試みとなりました」(城浦さん)

大学ではデザイン全般を学んでいたという城浦さん。パンフレットなどのデザインも自ら行うことも多いそう

 小学生の頃、自室に勉強机のデザインが似合わないという理由から机を自作したことをきっかけに、家具づくりに興味をもったという城浦さん。中学校卒業後は札幌の実家を離れ、おといねっぷ美術工芸高等学校に進学。道具の手入れなど木工の基礎知識を学び、大学は木製家具のデザイン・制作を専門とする中尾紀行教授のゼミで学ぶため、東海大学デザイン文化学科へ。城浦さんにこの基金の存在を教えてくれたのも中尾教授でした。「アルバイトに割く時間が惜しくて」という城浦さんにとって、返済不要のこの給付型奨学金は非常にありがたい制度で、「技術と知識を磨きたいと考えて進学した私に、創作の時間を与えてくれました」と語ります。

圧倒的なスケール感の乾燥庫。木材を保管し、乾燥させるための場所

豊かな緑の広がる敷地内に工房やショールームやカフェなどが並ぶ北の住まい設計社。緑を背景に佇むこの三角屋根の平屋の建物はかつてコテージとして使われていたもので 「この風景が気に入っていて、目の前を通るたび足を止めて見入ってしまいます」と城浦さん。

 サンスター文具による「文房具アイデアコンテスト」で審査員特別賞、美術系大学に在籍する学生を対象としたデザインコンペティション「さっぽろアートステージ2017University student ART competition」でグランプリを獲得するなど、在学中にものづくりの喜びと技術を積み重ねていった城浦さん。
 「本来ならばアルバイトをしていた時間を全て創作に充て、様々な挑戦の機会を得ることができました」と充実した学生時代を振り返ります。
 「デザインとは考えること」と語る城浦さん。東川町の豊かな木々に囲まれながら、今日も自然と暮らしに寄り添った家具づくりのために思索を続けています。

取材協力

北の住まい設計社
東川町東7号北7線
TEL 0166-82-4556
http://www.kitanosumaisekkeisha.com

●人づくり 一本木基金とは
長原實氏とスチウレ・エング氏からの寄附をもとに創設した基金。「工芸美術及びものづくり等の分野」における振興発展と人材育成のため、道内在住・道内出身者を対象とした事業を実施しています。
https://www.haf.jp/ippongi/index.html
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