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ジモトデザイン

クレードル/喜茂別町

喜茂別町から始まった農産缶詰ブランド 「クレードル」

2022.11.28 UPDATE

 赤字の筆記体で描かれた「Cradle(クレードル)」。このロゴは戦前から道産農産物の加工製造を手掛ける老舗・クレードル興農株式会社のブランドマークです。ホワイトアスパラガスやスイートコーンの缶詰と聞けば、ピンとくる人も多いのではないでしょうか。
 ポップでカジュアルな雰囲気のこのロゴですが、誕生したのはなんと1939(昭和14)年のこと。当時としてもかなり洒落ていて、現代にも通じる洗練された雰囲気はまるで海外ブランドのよう。これは海外進出を意識したデザインだと言われています。

80年以上変わらないクレードルのブランドマーク。ホワイトアスパラやスイートコーンなど、道産野菜にこだわり抜いた高品質な商品は、道内外の食卓で愛され続けています。

 クレードル商品は今でこそ多くの家庭で愛用されていますが、創業時は輸出がメイン。海外市場を視野に入れていたため、デザインも海外向けのものとなり、ブランド名も英語表記になったそうです。
 企業名の「クレードル」は「揺らん(ゆりかご)」を英訳したもので、その由来になっているのが、喜茂別町のアスパラガス栽培の歴史です。

同社のもう一つの看板商品であるスイートコーン。食卓用にレシピが記載された冊子も用意されていて、黄と紺の2色刷りが目を惹くハイカラ仕様(1970年頃発行)

 1924(大正13)年、輸入抑制と北海道の産業開発を図るため、アスパラガスは「冷害にも耐え得る強い作物」として当初は岩内町で栽培されました。しかし、ほどなくして大規模栽培の地として選ばれたのが喜茂別町でした。
 寒冷期でも土壌が凍結しない、雪解け後の地温上昇が速やか、土壌の軽軟肥沃さなど、自然的条件が適していたこと、そして村の理事者や農会長がアスパラガス栽培に積極的だったことも決め手になり、農家が主体となって1932(昭和7)年、喜茂別町にクレードル興農の前身「朝日アスパラガス缶詰株式会社」を設立。喜茂別町は大量生産を可能にした土地ということから、「揺らんの地」と呼ばれており、これが「クレードル」の由来となっています。

北海道の契約農家で栽培された甘味系品種のスイートコーン。商品の写真を見せるなど、消費者がイメージしやすいようなデザインに

 洗練されたロゴを掲げ、海を渡ったクレードル製品は、農産加工品を世界商品にした業界のパイオニアであり、六次産業の先駆け。ロゴデザインの制作意図などの記録は残されていませんが、ホワイトアスパラガスのパッケージからもリボンをモチーフにしたものと思われます。北海道の良質な食材をリボンを添えて世界へ。そんな願いが込められていたのでしょうか。時代の移り変わりと共に需要も変化し、現在の主力は道産野菜のスープやスイートコーンの缶詰などになりましたが、会社の歴史と共に歩んできたブランドマークは、同社の誇り。長く愛され続けた馴染みのトレードマークであり続けたい、と一度も変えることなく、80年以上が経ちました。「畑から消費者に」をモットーに、高品質な製品を作り続けています。

北海道産の野菜と乳製品を使用したスープのシリーズ。野菜それぞれの風味が効いている人気商品です。食卓で使われることをイメージした親しみのあるイラストが目を惹きます。

DATA

クレードル興農株式会社https://www.cradle-kounou.co.jp
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