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すーさんの「伝わる文化」おかわり 【五杯目】

2023.03.31 UPDATE

だんだんと温かくなってきました。
生き物が冬眠から目覚める季節でもありますね。

白蛇姫舞は実はちょっと気になっていました。
鹿追町の有志の方々がまちのために新たに創作した芸能です。
それが、もう、半世紀も続いているという事実。
まちのひとびとに受け入れられ、まちの宝として大切にされていたのだなと思います。
舞も素敵ですが、そういう関係もとても素敵ですね。

さて、今回は「へび」に注目してみようかと思います。
白蛇姫舞に出演する親子の蛇は、長崎の方に作っていただいたそうですが、蛇本体から見ても長崎くんちの龍踊(と書いてじゃおどりと読む)の龍づくりの名人だったのかなと。
この龍踊の源流は中国で、江戸時代にはもう長崎で演じられていたそうです。
中国の春節のニュースなどで龍踊を見ることがあるでしょう。
横浜や神戸の中華街でも龍が舞うことがあります。

この龍と蛇は水と大変関係の深い仲間です。
あの長くてうねうねとした姿が水の流れるさまを思わせたという話もあります。
五行でも青龍は水と結びつきますね。
白蛇は弁天さんと一緒に祀られていることもありますが、蛇も水と関係があるので、インドの河の女神サラスヴァーティと同一視される弁天さんのお遣いと考えられることになってしまったとも言われています。
だから、というわけではありませんが、然別「湖」の女神さまが「蛇」をお遣いにしたということは意外と素直になるほどと思える話ですね。
水仲間です。

蛇というのは手も足もなくて、這って移動してその動きがまた速い!謎の存在です。
その不思議さからか神話や伝説では善悪どちらの立場でも現れますし、様々な象徴として扱われます。
エデンの園でイヴに林檎を食べるようそそのかしたのは蛇です。
エジプト神話ではアペプというよくわからない悪の化身の蛇がいます。
ちなみにコブラは王権の証でファラオの冠にもついていますので偉いほう。
ギリシャではウロボロスという自分のしっぽをくわえた、完全や永遠を象徴する蛇もいますね。
新大陸のアステカ文明ではケツァルコアトルという羽の生えた蛇が創生神となっています。
昔っから人々は蛇に畏敬の念を持っていたようです。

日本最古と言われる神社のひとつである大神(おおみわ)神社の御神体は三輪山ですが、御祭神は大物主大神(オオモノヌシノオオカミ)で蛇に姿を変えることもありました。
これがまた白蛇さんです。
白蛇さんはどこにいても神様に関係があるようです。
大物主大神はお酒の神様でもあるんですよ!…お参りに行かねば。
日本で一番有名な?蛇といえばヤマタノオロチかなと思いますが。
その出雲の国島根の石見神楽では、オロチとしてやっぱり長くて大きい蛇の作り物が出てきます。
竹枠に和紙を貼って蛇の胴を作っていますが、これをヒントにドラゴンイリュージョンを開発したのが、日本が世界に誇るマジシャンの故島田晴夫さんでした。
日本の蛇は海をも渡ったわけです。
他にも山口県の岩国市では、まさに白蛇神社という神社があり(実際に天然記念物の白蛇さんが居るそうです)、お祭りではやっぱり作り物の白蛇さんが練り歩くそうです。
日本中の芸能の蛇が集まるイベントがあったら、にょろにょろうねうねが絡まって結構大変なことになりそうですが、ちょっと楽しそう。

蛇さんたちは人間にいろいろな想いを載せられて好き勝手言われて大変ですが。
まちのみなさんの気持ちから生まれた鹿追町の白蛇親子は間違いなく幸せな蛇さんです。
一度会いに行きたいのですが、車という足がないのでなかなか然別湖に辿り着けません。
足がないとは蛇の仲間…おそらくウワバミのほう…

角 美弥子(すみ みやこ)
北海道教育大学岩見沢校芸術・スポーツビジネス専攻准教授。
修羅の国出身。無形の文化財の保存継承を研究対象とする。授業では正しい琵琶の見分け方に時間を費やす。好きな能楽の曲は「猩々」。酌めども尽きぬ甕が欲しい。
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